2005年が終わるまでには1位まで更新できそうだ!
iTunesの再生回数を単純に集計した「2004年僕がiPodで最も良く聴いた楽曲」の中から2004年リリースのシングルを抽出してお送りする『2004年Best Single TOP10』、第5回です。
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6位 Wish I Had An Angel / NIGHTWISH
まさかこの曲がこんな上位とは。
自分が一番ビックリしました。俺そんなNIGHTWISH好きだったか?みたいな。
「iTunesの再生回数を集計する」という今回の単純なBEST10選出方法だと、「こういう曲を上位に選んでおくとロック・ファンとしてカッコ良いんじゃねえか」といった補正が一切働かないので、自分でも予想外の結果が出ます。皆さんも暇なら試してみてください。
NIGHTWISHはフィンランド出身、所謂「シンフォニック・メタル」に分類されるバンドです。
母国フィンランドでは押しも押されぬトップ・バンド、ヨーロッパでもこのジャンルを愛する固定ファンのハートをがっちり掴んで既にそれなりの評価を得ているバンドなのですが、アメリカにおけるEVANESCENCEの大ヒットで「こりゃシンフォニック・メタルいける!」と踏んだ周囲が俄然プロモーションに力を入れ始めたことで、この"Wish I Had An Angel"収録のアルバム『ONCE』が飛躍のアルバムとなりました。
【補足】
けいさんが既にEVANESCENCEのクロスレビュウで言及していますが、EVANESCENCEはゴシック・メタルというよりは完全にシンフォニック・ロック寄りなので、あれを聴いてシンフォニック・ロック関係者が意気込むのは良くわかる。
アンカーポイントのshunさんのように、音楽の面でも書体の面でもゴシックに造詣が深い方がEVANESCENCEがゴシックと呼ばれることに違和感を覚えるエントリを書かれるのも当然という気がします。USAメインストリーム・ロックのマーケットにおいて「ゴシック」は単に「シアトリカル」と同義で使われているんじゃないですかね。shunさん参考URLもういっちょ
【/補足】
まず、アルバム全体の力点が従来の「シンフォニック」から遙に「メタル」寄りに。
それでもこのジャンルに親しみが無い人には充分過ぎるほどシンフォニックなんですが、おそらく以前からのファンには「あら、こんなアグレッシヴなバンドでしたかね」と驚く変貌ぶりで、これが「シンフォニック・ロックは面白いけど音が軽い」と敬遠していた僕のようなノイズ耳には好感触。
そして北欧貧乏シンフォニック・メタルをその壮大なコンセプトとは裏腹に安っぽく見せていた最大の原因である「キーボード・オーケストラ」が、メジャー効果でリッチな生オーケストラに。
これで俄然音に厚みが増しました。
個人的には「ヘヴィ・メタルという厚みのあるサウンドと安っぽいキーボードの組み合わせがシンフォニック・ロックをライトノベルのようなB級臭さに引き摺り込んでいる」と感じていたので、ここで相当ポイントアップです。まんま「これ『ロード・オブ・ザ・リング』のサントラですよ」と言われても違和感の無い、スケールの大きいアルバム。
未だ本国と一部のヨーロッパを除いてはマニアックな固定ファンに支えられたジャンルではあるものの、シンフォニック・メタルというマーケットにおけるマイルストーンとなる傑作じゃないでしょうか。
そして、そんなアルバムの中で、最もメインストリームのヘヴィ・ロック的なアプローチを取り、メインの女性ボーカルだけでなく、男性ボーカルがfeatureされた、云わば最も「EVANESCENCEの大ヒット曲"Bring Me To Life"に近い楽曲」が、今回ピックアップした"Wish I Had An Angel"。
この曲を詳しく見ていくと、NIGHTWISHが並居る北欧シンフォニック・メタル勢の中で、いかにキャラ立ちした存在であるかが良くわかります。要するに、この曲にはシンフォニック・メタルというものを全く知らないリスナーが聴いても「ああ、こういうジャンルなのか」と理解できるだけのステレオタイプが詰め込まれている、ということ。
それでは、簡単にこの曲とプロモーション・ビデオ(以下PV)を解説しながら、これまでこの文章を「だから北欧シンフォニック・メタルってなんだよ!」と思いつつ読んでいたお前らを啓蒙しちゃうぜ?
まず、女性ボーカル、ターヤ・トゥルネン。
オペラを学んだというその独特な歌唱法は勿論幾多のメタル・バンドとNIGHTWISHを識別する顔になっているわけですが、それ以上に注目したいのが彼女の顔と体格。
ゴスゴス(この場合のゴスは効果音ね)とノミで削ったような大作りな顔はいかにも「ゴシック」という感じ(この場合のゴシックは効果音ね。しつこいけど)。PVでもずっとカメラを見下ろすように歌っていて、何も知らない人間でも「ああ、これがゴシックか」とわかる作りになってます。なんとなくだけど、ゴシックってのは女性上位の概念だと思うんですよね。だから。このゴスゴスした外見が発するメッセージは意外に大きいものがあるんじゃないのかな、と。...悪かったよ。ゴスゴスって言いたかっただけだよ。認めるよ。
そして、何と言っても北欧女はステレオタイプとして雲つく大女でなければなりません。
ターヤちゃんが本当に背がデカイのか、僕には良くわかりませんが、80年代スケバン刑事を彷彿とさせるロングスカートで更に顔がデカイので、PVで見る限りかなり大女に見える。
パブリックイメージに忠実。PVを見て3秒で北欧のバンドだとわかるってのは素晴らしいことです。
2点目はナルシスト臭いキーボード、ツォーマス・ホロパイネン。
北欧シンフォニック・メタル・バンドでは大抵キーボードが作詞作曲やアルバムのコンセプト・メイキングなどバンドの世界観形成を一手に担っているケースが多く、NIGHTWISHもご多分に漏れずこのツォーマスが中心人物として、ほぼ全てのソングライティングを手掛けています。
で、こういったシンフォニック・メタル・バンドの世界観にのめり込む=ファンタジーに強い影響を受ける=夢見がちで伝統主義的なナルシストという、これまたご多分に漏れず、ツォーマスからも強烈なナルシスト臭がプンプン漂ってきます。
兎に角、PVで彼がアップになるシーン全てが髪をかき上げる仕草のスローモーションときたもんだ。まじで笑っちゃうぐらいキーボードなんか1秒たりとも映らないの。「これシャンプーのCMですか?」と思うほど意味不明なコマ送りロン毛かきあげ。"Wish I Had An Angel"ってのは「僕も大木凡人みたいな天使の輪ができる黒髪になりたかった」っていう告白なのか。
ということで、2点目のステレオタイプが完成。
そしてシンフォニック・メタル・ステレオタイプ最後のピースを埋めるのが、前作から加入のベーシスト、マルコ・ヒエタラ。まる子なのかタラちゃんなのか。日曜夕方6時なのか6時半なのか、はっきりしてよ!で名前を覚えてください。マルコ・ヒエタラ。
この野太い声で歌えるベーシストの加入でNIGHTWISHはEVANESCENCEの"Bring Me To Life"と同じ「女性ボーカルに合いの手を入れるヘヴィ・ロック」を手に入れたわけで、彼の存在は非常に重要なのですが、そんな音楽的な話はさておき、彼の顔とヒゲを見てください。
もう笑っちゃうぐらいの海賊顔とお約束のようなバイキング髭。
小学生の子供でもこのPVを見れば「ああ、北欧ってのはバイキングの子孫が作った国なんだな」と理解できます。下から撮って見下ろすイメージを強調していたターヤとは異なり、彼のアップは全て上から。そして全カットで偏差値40を独走する悪人スマイル。まる子ちゃんというか限りなくはまじ。
良い子は見てるだけでロストバージンしないように気をつけてね。
はい、解説終わり。
「オペラを学んだ居丈高な巨人女」 + 「中世やファンタジーに入れ込むナルシスト鍵盤使い」 + 「野太い声を聴いてるだけでマニアは濡れちゃうバイキング髭」
このトリニティが織り成すソプラノとロード・オブ・ザ・リングのサントラとヘビメタの異種格闘技。
それがシンフォニック・メタルの全てです。
俺かなり分かり易く解説した自信があるよ、今。これでダメならもう一生君はシンフォニック・メタルとは縁が無いと思っていただいても結構。
まだまだ相当にヨーロッパ臭が強いので、これがマサ伊藤大先生が仰るように「NIGHTWISH進撃の時は来た」というほどアメリカで成功を収められるとは到底思えない部分もあるわけですが、巨人女かファンタジーかヒゲのどれかに萌える人なら、聴いて損は無いんじゃないですかね。
当方比較的巨人女好きでファンタジーに興味のあるヒゲです。ど真ん中でした。