March 24, 2005

Songs About Jane / Maroon 5

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白人にとって黒人音楽への傾倒は、かつては一部の才能のある人(というか変人)人にのみ許されることでした。まあR&Bはロックの先祖とすると自分の親に説教するようなものですから、それ相応の知識と実力とハッタリがなければつとまりません。ROLLING STONESしかりLED ZEPPELINしかり。だからといって彼らの実力に何の付加価値も付けず「ロックは元々黒人のものだった」と偉そうに言うのもどうかと思うのですが。


状況が変わってきたのは80年代に入ってから。
それまでもブルー・アイド・ソウルという白人がR&Bっぽい音楽をやる流れ(かつZEPやストーンズほどエキセントリックではない)はありました。が、MTV時代に突入すると白人音楽と黒人音楽の境界線は、それまで黒人向けと白人向けで明確に分かれていたエアプレイ・フォーマットが曖昧になったことで一気に崩れます。


Michael Jackson『Thriller』がロックっぽい作風で大ヒットしたり、EURYTHMICSやCULTURE CLUBのように「優秀なソウル・シンガー」を擁しビジュアル的なインパクトを持ったアーティストが英国から大量出荷されたり、実験的な白人R&Bを展開していたDaryl Hall & John Oatesが一気にコマーシャル・ポップに様変わりしたのが80年代前半。80年代後半にはPrinceに影響されたR&B勢がシンセ・ポップ的な音づくりで大繁殖する一方、George MichaelのようにR&Bのダウンワード・スパイラルに深入りするミュージシャンも出現します。


しかしこういったロックとR&Bの融合は、90年代以降目立たなくなります。
90年代になったとたん音楽を聞かなくなった人は口を揃えて「フォーマット(ジャンルでもいい)の細分化」と言いますが、違います。境界線が崩れたことで生まれた白人音楽と黒人音楽の融合は、度が過ぎると均質化する。要するに、どれも似たような音楽になったと。


こうなると市場は衰退するしかない。ポップ・ミュージックは時代とともに進歩してきたわけですから、均質化から逃れるためにそれぞれの音楽が分化した。音楽が分化し、リスナーも追従したから結果的にエアプレイのフォーマットも細分化したわけです。「フォーマットが細分化したからシーンがつまんなくなった」とぼやく人は音楽の分化についていけなくなっただけです。責任転嫁はやめましょう。


さて分化がある程度進めばまた融合の機会が巡ってきます。シーン統括でも触れましたが、去年がまさにそのタイミングでした。それはOUTKAST、Jack White、Joss Stoneのような突出した才能の活躍だけでなくChristina AguirelaやJustin Timberlakeのようにアイドルの二次利用という動きもみられることからも明らかです。しかしアギレラにしてもジャスティンにしてもちょっと尖った音楽性を売りにしていて、万人受けのコマーシャル・ポップとはちょっと違います(結果的に売れてはいますが)。それはなぜか。


かつて白人アーティストが黒人音楽を取り入れたときは、白人にとって黒人音楽はあまり身近な存在ではなかった。だからブルー・アイド・ソウルのような「黒人音楽のわかりやすい解釈」が受け入れられる余地があった。しかし今Lil' JonやN*E*R*Dの音楽は人種を問わず人気です。例えお茶の間アイドルであっても先鋭的なR&Bプロデューサーと組んでも全く違和感はない。逆に言うと、あえてわかりやすいR&Bを歌わせる必然性もないわけです。


必然性がないからといってやってはいけないわけではありません。しかし普通は何を今更と二の足を踏むでしょう。そんな中で無邪気にやってのけたのがMAROON 5。


元々KALA'S FLOWERSという典型的白人ロックをやっていたバンドが全く売れずに解散し、時間つぶしのなかでR&Bに出会ったことがMAROON 5結成のきっかけでした。つまり彼らにとって黒人音楽は決して身近な存在ではなかった。このことが「わかりやすいR&B」を取り入れたバンド結成に結びついたのでしょう。


誰もが「今更こんなのありえない」と思っていた。しかし市場からは類似の音楽はどんどん減っていく。そんな状況で唐突に現われたMAROON 5は大歓迎を受けました。はじめは「わかりやすい洋楽」に飢えていた日本から。次に母国アメリカで。ついでイギリスでも、欧州でも、中東でも、アジアでも。しかしこうやって書いてみるとスタイルこそ違え、売れ方はEVANESCENCEと似てますね。


個人的には使い古されたサウンドだし80年代にこの手のバンドがヒット2-3曲で消えていくのを何度も見ているので、彼らにほとんど魅力を感じません。ここまでレビュウを引っ張って申し訳ありませんが。おそらく世界中の業界も同じ見解でしょう。だからこそ競争相手がいない中で、彼らはここまで市場を独占できたわけですし。


しかし今後類似のバンド(おそらく無邪気さのかけらもなく、周到にマーケティングされたバンド)が続出する中で、彼らはどこまで優位を保てるでしょうか。すでにROOSTERというフォロワー(かつルックスは数段上)が出現していますし。MAROON 5にR&Bを持ち込んだのは新加入のギタリストらしいですが、もしかすると彼は遅咲きのR&B求道者となりJack Whiteのようにあっちの世界を突き進んでしまうかもしれません。まあ、ないでしょうけど。ちょっと心配半分、期待半分でしょうかね。

投稿者 けい : March 24, 2005 02:20 PM | トラックバック
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